ビートルズの訳詞をやってみよう

ビートルズやメンバーのソロ曲の歌詞和訳をやります

ビートルズの訳詞をやってみよう

10代前半で強烈にのめり込んで、20代半ばで一度離れ、30代になった今、あらためて、きちんと歌詞の訳詞をやってみようと思う。

授業を聞く合間に教科書やノートの隅っこにちみちみと書き込んで悦に入っていたものを、一度きちんと追求しなおし、きちんと形にしてみたいと思うようになった。

世の中がどんどん便利になって、聞く装置が変わっても、結局聞いているものは変わらない。かつてCDで聞いていたビートルズを、ジョンレノンを、ポールマッカートニーを、ジョージハリソンを、今はSpotifyiTunesで聞いている。
多少なりとも学生時代より英語ができるようになり、学生時代よりも年を食って、昔よりは少しわかることも増えた。仕事の合間にぼんやりと聞いているとき、急に歌詞のことばの内容が飛び込んできて、急に彼らに話しかけられたようで(しかもびっくりするくらい核心をついた内容を)驚いてしまう。リスニングと文法理解の能力がマシになり、いろいろ実際に経験しないとわからないような感情の蓄積が下地になって、ビートルズ(と、ソロ時代の彼ら)が歌詞で言わんとしていたことが、少なくとも昔よりはわかるようになったのだ。
この感覚を説明することは難しい。幼少期に読んでいた童話や子供向け作品を大人になって見返したとき、それが良作であればあるほど、別の作品のように思えてくるような感じだろうか。正面からしか見ていなかったものを、横から後ろからも見られることを知ったかのような。

学生時代は、印象的なフレーズや気に入ったフレーズだけを何通りも訳して訳した気になっていたり、よくわからないところは単語の字面だけで判断して何となくそれっぽい言葉をあてはめて満足していたが、もうそういうことはしない。
もちろん歌詞という限られた字数のなかであらわされた真意を正確に汲むことも、万一汲めたとしてそれを適切な日本語に置き換えることも、いずれもほぼ不可能だろう。しかしそれでも、可能な限り、最大限可能な限り、原詞に対して誠実でありたいと思う。彼らが詞の中で何かを語るとき、そう語るに至る何らかの具体的経験があるはずである。可能な限りそれを知ること、知ることはできなくても最大限(論理の飛躍とならない範囲で)推察し、そこから訳詞を組み立てていくこと。30代の自分はそのようにしてビートルズと向き合いたいのである。